プラトニック・ラブ



素直に言えばいいのにと、思うあたしもいる。



けれど、たった2文字〝すき〟を言って関係が崩れたら?


そういうあたしもいる。



考えれば考えるほど溢れ出すのは想いと涙。



片想いでもいいと、そう思っているあたしがここにいる。


けれど同時に彼の想いがあたしに向いてほしいと思うあたしもここにいる。




こっち向いて。


言葉をかけて。



くだらないことでいい。


小さなことでいい。



いなくならないで。



傍にいてくれるだけであたしはそれだけで満足なんだ。


今までにないくらい、嬉しくて穏やかな気持ちになれるんだ。



「どうしたらいいのか…分からなくて…っ」



あたしを残して出て行った迅。


あたしはその背中を追いかけることができなかった。



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