プラトニック・ラブ



美沙はあたしを支えるようにして一階の保健室まで急いでくれた。


そして保健室のドアを開けるなり、椅子に座って書類に目を通していた先生に向かって言った。



「先生っ! この子バカだからオールして今にも死にそうなの!」



慌てながら早口でそう告げる美沙に、思わず噴出しそうになってしまった。



「ああもう! 本当馬鹿っ!!」


バカとは失敬な、なんて思いながらも、確かにそうだななんて納得してしまったあたしがここにいて恥ずかしくなる。



確かにバカなことをしてしまった。



中学のときオールしても元気だぜーなんて騒いでいた男子がいたけれど、あいつは多分人間じゃない。


寝なくても生きていける宇宙人だったんだ、なんて思うことしか出来ないほどあたしには無理だった。



普通に考えて、寝なきゃ死ぬんだなって思った。


少なくともあたしは。



「あらあら。 確かに顔色が悪いわね」



ダルイ? と聞いてきた先生に、あたしは俯いたまま小さく頷いた。




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