プラトニック・ラブ
「迅っ」
その大きくて温かい背中に呼びかければ、くるりと振り向いた彼は笑顔であたしを迎えてくれる。
駆け寄っては迅の前でストップした。
すると迅は少し難しそうな表情をしながら言う。
「あのさ、1つ」
「ん?」
「別に俺は構わないんだけど、俺らの関係って秘密にしたほうがいいんじゃ?」
「っ!!」
そうだ。
そうだった。
迅、なんて当たり前のように普通に呼んでしまったけれど、他の人たちには知られたくない。
秘密にしたい関係を持つあたしたちは、校内では当たり前のように名前を呼び合ってはいけないんだった。