プラトニック・ラブ



ぽたり、と。


頬を伝った涙が静かに落ちた。



何で泣いているろう。


どうして涙が出るんだろう。



喜ぶべき場所なはずなのに。


なんであたしは。




「瑠璃」




まるで泣き虫な小さな子でもあやすかのような声。


迅はそうあたしの名前を呼んでは優しく抱き寄せた。



ふわりと香る、落ち着く迅の匂い。




「…迅」



「なに?」



「あたしを見つけてくれてありがとう」



何を言っているんだろう。


自分でも何を言っているのか分からない。




< 795 / 800 >

この作品をシェア

pagetop