ma Cheri


「悪いけど。私、あなたの利益になるようなこと何も知りませんから。ほっといてください。」
「え…」


戸惑った顔の転校生を無視して私は教室から飛び出した。
当然頭に乗っていた快も私の行動にあたふたとしていた。
にも関わらず玲ちゃんはすくっと席から立ち上がり私のあとを追ってくるのが見えた。
玲ちゃんは優しい。私の父親に対する思いを知っているから心配してくれる。
快も優しい。戸惑いながらもおってきてくれるから。


「シェリ!…大丈夫?私…油断してた。まさか龍希さんのファンが同年代にいるなんて…」


そういって俯く玲ちゃんはとってもきれい。
それに対してこんなにも醜い自分が憎い。


「玲ちゃん、それに快も。ゴメンね。あたし今日…早退するよ。先生に言っておいてくれる?」
「…わかった。ノートとっとく。放課後ケーキ持ってシェリの家…行ってもいい?」
「うん。了解。快、ほんとゴメンね?また明日。」


私は二人に手を振り、小走りで昇降口へと向かった。

早くこの空間から出ていきたい。


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