ma Cheri
「何してんの?」
「かっ…鍵谷くん…これは…その、違うの!」
「何が違うの?俺、まだ何も言ってないけど。」
ちょうど雲で太陽が隠れたとき、私は目の前に立っているのが鍵谷くんだということにようやく気が付いた。
無言で女の子をにらみ続ける鍵谷くんはいつもの優しさを微塵も感じさせない。
ていうかふつうに怖すぎる。
「楢山に何する気だったの?内容によっては俺、君のこと許さないから。」
「っ…」
そういう鍵谷くんは今まで会った誰よりも冷たかった。
そんな鍵谷くんににらまれた女の子は泣きながらその場を走り去った。
ていうか、こんな状態の鍵谷くんと二人きりにしないで!
私が心の中で慌てふためいていると、鍵谷くんがため息を一つこぼした。
「楢山、へーき?」
そういって振り向いた鍵谷くんの顔はいつもの笑顔だった。