ma Cheri


「鍵谷蓮司です。親の都合で1週間前にイギリスから帰国しました。よろしくお願いします。」


そういって彼はさわやかに微笑んだ。
容姿端麗なうえに帰国子女って、どんな設定だよって言いたくなる。


「鍵谷の席は~…」


きょろきょろと周りを見回し始めた山田先生だったが玲ちゃんと目が合うとおびえたように目をそらした。
きっと今の玲ちゃんの顔は恐ろしいほどの目つきで山田先生を睨んでいるのだろう。
担任の先生怯えさせるなんてさすが玲ちゃん。


「井坂の隣でオネガイシマス…」


井坂っていうのは快と列を挟んで隣に座っている男子のことだ。
井坂くんはこのクラスのHR長も務める真面目くんだ。


「ソ、ソレジャ…ボクハシツレイシマス…」


片言な日本語を話しながら山田先生はそそくさと教室から出て行った。
というよりも逃げて行った。

しかしクラスの女子はここぞとばかりに転校生に群がり始めた。

まさに砂糖に群がる蟻のごとく。


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