ma Cheri


「本名!珍しいだろ?っと…こうやって…書くんだよ…な、シェリ?」


男の子らしい少し汚い快の字で紫恵里という文字が白いルーズリーフに書かれた。


「ちなみに苗字は…っと…マジシェリの苗字書きづらい!…もういいや」


そういって快は投げやり気味に紫恵里の前にひらがなでならやまと書いた。
それをみた転校生は驚いた顔をして


「ナラヤマシェリ…ならや…もしかして君…楢山龍希の娘!?」


ぱぁっと明るい笑顔で転校生は私を見つけた。
そのきれいな口から出たのはうっすらとしか覚えていない父親の名だった。


「蓮司、龍希さん知ってるの?渋いね~。俺、親父から聞いたことあったけど…」
「俺、ほんとに大ファンなんだ!歌詞も声もきれいで透き通ってて…親父の影響なんだけどさ」


そういって転校生ははにかんだ。やめて…やめてよ…私はそんな人…シラナイ。


< 9 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop