─仮面─偽りの微笑み
───…
──…
「……はぁーっ…」
頬杖をつき悲しげな表情で、繭璃はため息を吐いた。
時は放課後、何時ものように繭璃は棗と会っていた。
美麗の事が気掛かりで、さっきからずっとため息ばかりの繭璃。
そんな彼女に、棗は訳を話すように言った。
「"ご褒美"やるから、ため息のワケを話せ繭璃」
例のごとく、その言葉に"ぴくん"と反応を見せる繭璃が、棗にはたまらなかった。
「いらないの?ご褒美…」
棗は意地悪く笑い、繭璃を引き寄せ脚の間に座らせた。
後ろから抱き締め呟いた。
「ちゃんと言えよ…気になる…」
「えっ、棗さん?」
ぎゅっと抱き締められ、繭璃の心臓はちぎれそうな程キュンとしていた。
「美麗ちゃん…の…ことでちょっと…」
「…美麗?アイツなんかあったの?」
耳元で囁くように喋る棗、息が耳にかかり繭璃は一瞬ピクンと身体を震わせた。