─仮面─偽りの微笑み
「あっ…のね?美麗ちゃん、修一さんのお部屋に行ったんだって」
「でっ?それがどうした」
「んっ…その時修一さんから"ピンク"のスリッパを出されたらしいの」
「ピンクのスリッパ…あぁ」
棗は思い出し笑いをして、また繭璃に問い掛ける。
「そのスリッパが原因で、お前はため息のオンパレードなワケ?」
「うん、だってね?修一さんスリッパを出す時に"女の子はみんな好きでしょ"って言ったって美麗ちゃんが…」
「そりゃ大概の奴は好きだろ」
「でも、美麗ちゃん"みんな"って一言が気になったみたい…あの部屋で、他にもスリッパ履く女の子がいるんじゃないかって…」
後ろで"くっくっ"と肩を震わせ笑う棗を、繭璃は振り向いて「何で笑うの!ヒドい」と睨みつけた。
「わりー、くっくっ…でもな、そりゃ美麗の勘違いだ」
くっくっと笑いながら、棗は繭璃に"ピンクのスリッパ"の話しをしてやる事にした。