─仮面─偽りの微笑み

美麗は一人自室に籠もっていた。



「ちゃんと聞こうって決めたのに…あたしのバカ」



意気地のない自分を責め、ベッドに丸まって瞳を閉じた。



「今日はちょっと…」と、修一の誘いを断ってしまったのだ。



─コンコン



「美麗ちゃん?お客様よ♪」



ママの嬉しそうな声に、美麗は重い目蓋をこすりながらベッドから起き上がる。



「んー、だぁれぇー」



パタパタと足音がする、ママは玄関に向かったようだ。



いつの間にか眠っていたらしいあたしは、ぼんやりとしながら玄関へと向かった。



「美麗ちゃーん!!」



「もー、わかったって」



階段を降りながら玄関へと視線を向け、あたしは驚きで足を踏み外しそうになった。



「いらっしゃい、どうぞあがって♪」



「はい、お邪魔します…あっ!これつまらない物ですがどうぞ」



にっこり微笑んだ彼は、ママに手土産を渡すとあたしに顔を向けた。



「…修一さん」



「美麗ちゃん、きちゃった」
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