─仮面─偽りの微笑み

「何緊張してんのよあたし…」



そう呟き扉の前で深呼吸してから、「修一さん?」と声を掛けた。



─ガチャリ



ドアが開くと、ニコッと爽やか笑顔であたしは迎えられた。



テーブルに紅茶とケーキを並べる。



ソファーに並んで座り、少しだけ彼を見て言う。



「ケーキありがとう」



「好きでしょ?」



「うん…あっ、冷めないうちにどうぞ」



紅茶とケーキを修一に差し出し、美麗は「いただきます」とケーキを口に運んだ。



「うーん、おいひぃ」



大好きな物を食べてる時って、色んな事を忘れちゃう。



クスッと笑った修一さんが「ついてる」と、あたしの口元を指で拭った。



クリームの付いたその指を、ペロリと舐める。



「あ…///」



「甘っ…」



チラリと覗いた赤い舌が、酷くイヤラシく見えて、思わず頬を赤らめた。
< 111 / 268 >

この作品をシェア

pagetop