─仮面─偽りの微笑み

───…
──…



「繭璃どうした?」



"はぁーっ"と控えめなため息を吐いた美麗に、棗は声をかけた。



「んー、美麗ちゃんの事が心配です…」



返ってきた言葉に、笑みが漏れる。



ポンポンと頭を撫で、ふっと微笑った棗。



「お前は美麗の事ばっか心配してるな?気にすんなハゲるぞ」



「ハッ、ハゲ…?!」



瞳をパチクリさせる繭璃の耳元で、棗は熱い吐息を吹きかけながら囁く。



「今頃は…ベッドの中かもな?俺達も仲良くするか…?」



「な、棗さん!…///」



「冗談だ」



「ひどーい!からかってる…本当、いじわるっ」



真っ赤な顔して怒る繭璃が、愛おしくて思わず引き寄せた。



「俺の事も気にしろよ…」



「えっ?」



ぺろっと耳を舐めると、愛らしい唇が開き「はぁ…ん」と、小さく吐息を漏らした。

< 122 / 268 >

この作品をシェア

pagetop