─仮面─偽りの微笑み
繭璃の家に寄り、買い物をしてマンションへと帰り着いた。
「ちょっと遅くなってしまいましたね…でも私っ頑張りますから!」
小さくガッツポーズを決める繭璃が可笑しくて、棗は思わず笑ってしまった。
「ぷっ…はいはい、じゃあ頑張って下さいよシェフ」
「な、何だかバカにされてるような…?」
「気のせいだろ?」
「きっ、気のせい…ですよね…?気のせい、気のせい…」
ぶつぶつ言いながら、家から持ってきた鞄を開け何かを取り出していた。
何となくその後ろ姿を眺めていた。
「棗さん!似合いますか?ふふっ…でも…やっぱり恥ずかしいなっ…///」
クルッとこちらを向いた彼女が、照れ臭そうに微笑んだ。
ノースリーブのワンピースに、フリルのあしらわれた純白のエプロン。
…メイドか?
じゃないとしても、これはヤバいな…。
ハンバーグどころじゃねーだろ!!
「似合ってるんじゃねーの?」
本当は押し倒したい位だか、今は我慢して繭璃の問に答えた。