─仮面─偽りの微笑み
「私のお気に入りなんです♪棗さんに見せたくて…」
そう言ってはにかむ繭璃に、俺は暫く見とれていた。
「あっ…早く作らなきゃ、ごめんなさいっ!!」
ぺこんと頭を下げて、彼女は慌ててキッチンへと向かった。
「…メイドもいいな」
ニヤリと嫌らしく笑った棗は、キッチンで忙しなく動く繭璃を眺めながら、じっとその時を待った。
───…
──…
「おいしかったよ、本当に料理出来るんだな」
「うー、やっぱりバカにしてたんですね!」
「わるい、そんなつもりねーけど美麗のやつが全く出来ねぇから」
期待半分でテーブルについた俺の前には、ちゃんとした料理が並んでいた。
出来は満点…いや、それ以上か?
とろくさそうで何にも出来ないように見えるが、これは予想外だな。
ギャップにやられ、彼女に益々はまっていく。