─仮面─偽りの微笑み

お風呂で棗に散々苛めたおされたお陰で、繭璃は更にぐったりとしていた。



「棗さん…ひどい」



「何が?俺は割と楽しかったけど♪」



口元をゆるませ、にやりと嫌らしく微笑む棗に、繭璃はまた頬を赤くする。



「…だって…///」



棗は、繭璃に自分を洗えと命令したのだ、「これが″お仕置き″だご奉仕しろ」と。



「真っ赤な顔して…くすっ…恥ずかしかった?」



思い出したのか、また赤い顔をして頷いた繭璃の頬を撫で、髪に手を差し込んで引き寄せ唇を重ねた。



「ふっ…あぁ…」



「お前が欲しい…」



キスの合間に囁き、唇を貪った。



初めてだったとか、優しく出来なかったとか、そんなのは何処かへ飛んでいってしまっていた。



どうしようもなくコイツが欲しい…余裕の無い自分が滑稽でならない。
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