─仮面─偽りの微笑み
「はぁー恋とは恐ろしいねぇ、こんなにも人を変えるんだからな」
「るせーてめぇだって同じだろうが!」
「なんか言葉キツくない?棗くんそんなだったっけ?」
ねぇねぇと棗の顔を覗き込んだ修一。
「偽りの俺は捨てる事にしたから」
憮然とした態度で言ってのける棗。
「おぉ!遂に仮面を外すときがやってきたかぁ?!」
「お前…うぜー」
「ヒドッ…棗くんのいじわるっ♪」
「きもっ」
「ヒャッハッハッ♪棗の仮面を外した繭璃ちゃんに感謝だな」
「繭璃…そうだ今日は繭璃も連れてくから」
「連れてくって会社?いいの?じゃあ俺も美麗ちゃん連れてくー♪」
「どっちみち繭璃に着いてくんだろ美麗は」
「あーそれでニヤニヤしてたわけね…ふーん♪」
「わりぃかよ」
「んー悪くないよ?棗も人の子だったんだなーって安心しただーけ」
「俺は化け物かよ…」
楽しげに先を歩く修一の背に呟くと、俺はジーンズのポケットから車のキーを取り出し後を追った。