─仮面─偽りの微笑み
グイッと繭璃を引き寄せ肩を抱くと、そっと囁いた。
「…お仕置き好きだもんな?」
「…っ…///」
ニヤリと嫌らしく笑う棗に、頬を赤らめ繭璃はぶるっと身体を震わせた。
「何言ったのよー」
美麗の声と共に、エレベーターが最上階に着いた事を示した。
「行くぞ」
肩を抱く手を下ろし、腰に回すと棗はエレベーターを降り社長室へと足を進めた。
コンコン、社長室の扉をノックすれば、「入れ」と部屋の中から声がする。
「繭璃…」
「は、はいっ」
ぱっと見上げれば、ちゅっと唇が一瞬触れる。
「な…?!……///」
「マジで緊張し過ぎ」
「はい…」
一瞬触れた唇が熱い…でも何だか少し力が抜けたような気がする。
ふっと柔らかく微笑むと、棗はカチャッと扉を開けた。
後ろでは、美麗が小さく悲鳴をあげていた事を、2人は知らない。