─仮面─偽りの微笑み
「来たぜ」
棗の声に、背を向けていた劉兒が書類を片手に振り向く。
「これに目を通しておけ…「パパっ♪」って美麗?!どうした…ん?」
棗の隣で小さくなっていた繭璃に、劉兒が声をかける。
「君は確か…」
「あっ、お、お久しぶりです宝田繭璃です!」
「そうそう繭璃ちゃんだったね」
「親父、繭璃知ってたのか?」
「ん?あぁ何度か家で会ってるからな」
「何だ面識あるんじゃねぇか繭璃」
「はい、でも社長さんとしてお会いするのは初めてですから…」
もじもじと話す繭璃の頭をポンと撫でた。
「俺より親父の方が先に知ってたなんて…なんか腹立つな」
「おいおい…棗くん…父親に向かってそれはないよ」
劉兒は心底呆れた表情をして、「ね?」と、美麗に視線をむけた。