─仮面─偽りの微笑み
「これ、あんたらがいちゃいちゃしてる間に済ませたから」
目を通せと言われた書類を劉兒に差し出し、パソコンを閉じた。
「「いちゃいちゃじゃねー!!」」
声を揃えて怒る2人に、皆吹き出して笑った。
「はいはい、じゃあまた」
さっと繭璃の手をとる棗に、暢が声を掛けた。
「棗…」
「そんな信用ねーの俺って?」
「あ、いや…そうじゃねーけど俺は繭のおじさんだからな」
「マジで大切にするだから信用してくれ」
「棗さん…」
大切に…繭璃は暢に堂々と言った棗の言葉に、瞳を潤ませ隣に立つ彼を見上げた。
そんな2人を見て、暢は「解った」と一言そう言うと、棗に歩み寄った。
「じゃ頼むわ繭のこと」
と肩をポンと叩いて、棗と繭璃の2人に向けてふっと微笑った。