─仮面─偽りの微笑み
「じゃあな親父」
「あぁ…ってちょっと待った!お前…今日なんかおかしいな…何時もそんなだっけか?」
何時もの作り笑いに、鼻につく喋り方がない。
「なんか″仮面″外したらしいですよ♪」
修一は愉快そうに笑って言う。
「仮面ねぇ…ユウリが悲しむぞなつ君♪」
「るせー!帰るぞ繭璃」
劉兒をギロリと睨みつけ、棗は繭璃の手を引くと歩き出した。
「あ、棗さん待って下さいっ…あの、失礼します」
劉兒に向かって頭を下げると、「またねおじさん」と暢に小さく手を振った。
「ちょっと待ってよー!あたし達も帰るから」
美麗は修一の腕を掴んだ。
「じゃあ俺たちも失礼します」
「じゃあねパパ、暢さん!」
「美麗を頼んだよ?修一君」
「はい!じゃっ」
一礼した修一は、美麗に引っ張られて部屋を出ていった。