─仮面─偽りの微笑み
「信じてねぇ訳じゃないんだ…ただな…わかってくれよ…心配なんだ繭の事…まだまだ子供だからなぁ」
「だよな…」
「棗だってまだ学生だろ?あいつらの思いが本物かなんてわかんねー…」
「…本物か…確かめてみたいか?あいつらが本物かどうか」
何かを企むように、うっすらと笑みを浮かべ、劉兒は暢にそう言った。
「…確かめる…か…そりゃあ出来るもんならな」
「ふーん…そっか」
「何だよ?」
「別になんでも…あぁーユウリに会いたくなった!帰るぞ」
「おまっ…はぁーっ…帰れ、帰れ邪魔なだけだ」
「じゃ、後宜しく!」
劉兒は軽やかに歩きドアを開けると、振り返りニヤリと微笑んだ。
そんな悪戯な微笑みを暢に向けると、劉兒は愛する妻の元へと帰っていった。
「…なんだあいつ?」
そんな劉兒が出て行った後を、首を傾げた暢が不思議そうに見つめていた。