─仮面─偽りの微笑み
「んー!!」
浜辺で大きく伸びをした繭璃が、くるりと振り向いた。
「やっぱり…暑いですね」
「はぁーっ…だから言っただろ?日焼け止めちゃんと塗ったか?」
「…ごめんなさい」
「なに謝ってんだよっ…それより早く弁当食べようぜ」
「はい!」
灼けるような日差しを避け、木陰の下にシートを広げる。
「棗さん?何故でしょう…ここに人が居ないのは」
「そりゃあそうだろプライベートビーチだからな」
「へっ?」
そう俺達が来たのは、天城家の所有するプライベートビーチ。
昔、小さかった俺達を連れ、海に行きたがった母に親父はここを用意した。
誰にも見せたく無かったんだな…今なら解るよ親父。
コイツの水着姿なんて、誰にも見せたくねぇ。