─仮面─偽りの微笑み

「あのー…棗さん?ここって…」



「あ?ここ?ホテルだけど」



フロントでキーを受け取り、エレベーターを待つ。



「それくらいわかります!じゃなくてどうしてここに?」



俺達が今いる所…浜辺から程近い場所にある″シーサイドホテル Venus ″。



「早く抱きてぇ…」



囁いてやれば、真っ赤な顔をした繭璃が、ギュッと俺の手を握り締める。



マンションに帰るとでも思っていたのだろう。



「ここのオーナーは祖父母だから…偶には利用しねぇとな♪」



「えぇーっ?!」



驚く繭璃の頭をポンと撫で、スィートルーム目指しエレベーターに乗り込んだ。



───…
──…


荒々しくスィートルームのドアを開け部屋に入ると、繭璃を引き寄せ唇を貪った。



後頭部を押さえ、腰に回した手に力を込める。



「ん…んー…!!…はっ…ぁ…ふぁッ…」



ねじ込ませた舌を絡ませ、吸い上げて…全てを奪うような激しいキスをした。
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