─仮面─偽りの微笑み
───…
──…
『取り敢えず見合いだけでも行ってくれないか…』
親父に切望され、俺は南條のご令嬢とやらに会うべく、見合いの席に出向いていた。
「おお!君が劉兒君の息子かね…やはり父親に似て綺麗な顔立ちをしておる…今からひ孫が楽しみじゃわい」
「たいしたこと無いですよこんな顔」
「はっはっはっ…面白い男じゃわい」
目の前の老人が豪快に笑う。
「南條惣一郎…私の名だ、君の祖母の麗子さんとは昔からの仲でね…劉兒君の事も良く知っている…だから何か手助けしたくてね」
白く長い髭を顎にたくわえ、それを撫でつけながら俺を見て笑うその老人が、″南條財閥″の会長。
「でも…何もなしに手助けなんて申し訳ないと麗子さんと劉兒君が気にしてなぁ」