─仮面─偽りの微笑み
ばぁさんの知り合いだったのか…。
あの人もやってくれる。
静かな料亭の一室で、俺と会長は向き合っていた。
「麻里香入りなさい」
襖の向こうで、中の様子をうかがっていたのだろうか。
「…はい」
声を掛けられ、その人は返事をすると、すっと襖を開けた。
会長の隣に座ると口を開いた。
「あの…初めしてまして 南條 麻里香 です」
髪をアップにし、高そうな着物に身を包んだ彼女が、恥ずかしげに頭を下げる。
「初めまして…天城 棗 です」
「どうだ麻里香!棗君は気に入ったか?」
何て気の早い爺さんなんだ。
呆れ気味に小さくため息を吐き出して、俺は麻里香に顔を向ける。
「…ええ…///」