─仮面─偽りの微笑み
「さてと…後は若いもんに任せて老いぼれは退散するとしようか」
お決まりの文句を口にして、会長は席を立った。
「あ…お祖父様」
「棗君、麻里香を頼んだよ!はーっはっはっ」
そう言って、会長は襖の向こうに消えていった。
高らかな笑い声と共に…。
「もう、お祖父様ったら…棗さんすみません」
「いや、なかなか楽しい人だ僕は嫌いじゃないですよ」
「気を使ってます?ふふ…優しいんですね」
ふわっと笑った彼女が、先程とは雰囲気が違って見えた。
「リラックス出来ましたか?」
「え?…あ…はい」
「随分と緊張してらしたみたいですから…」
「あ…バレちゃってました?えへっ」
肩を上げペロリと舌を出した麻里香が、ふと幼く見えた。