─仮面─偽りの微笑み

「しゅっ……」



言いかけた時だった、ガチャリとドアが開き怪しい笑みを浮かべた兄が出てきた。



「ふーん…早く出てこいと急かしたのは見せつけたかったからかぁ」



ニヤニヤと笑う棗に、真っ赤になった美麗は「違うよ!」と声を荒げた。



「修一もこんなののどこがいいんだか…」



「美麗ちゃんは可愛いよ」



ぼぼっと更に赤くなる美麗を横目に、後ろに立っていた繭璃の手を引いた。



前に立たせると、後ろから腰の辺りに腕を回した。
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