─仮面─偽りの微笑み
「ただ見合いしただけで何でそんな事になんだよ!」
気が付けば、俺は電話の向こうの暢さんに怒鳴りつけていた。
「棗…ただの見合いじゃねぇ…大勢の人の未来がかかってんだ」
「……くっ……ひでぇ……でもだからって…」
「棗…繭の事は諦めてくれ…あいつも辛いんだわかってくれ」
「……っかんねぇよんなのっ…俺にはわかんねーよ!なぁ何でだよ暢さん!俺には繭璃を諦めるなんてできねーよ……」
「…すまん棗…」
それっきり暢さんは何も言わず、電話は切られてしまった。
「大勢の人の未来…か……あいつとずっと一緒にいるって約束したんだ…俺達の未来はどうなる?…もう…かなわねーのかな…」
道端に止めた車内で、俺は力無くシートにもたれていた。