─仮面─偽りの微笑み
暫くぼんやりとしていた俺は、キュッと目を閉じると心を決めた。
「…くそっ…やってくれる…」
俺はもう一度携帯を取り出した。
「俺だ……あの話進めてもいいぜ…」
『えっ!本当?』
「あぁ…なるべく早い方がいいな…直ぐに進めようか…爺さんに言っとけ…あたし達″婚約″しますってな」
『ん、わかった!楽しみね棗♪』
「そうだなぁ麻里香…婚約の御披露目は派手にやらねーといけねぇからなぁ…くくっ」
『じゃあまたね』
「ああ、また…」
もう…どうなっても構わない。
「…ふっ…ははっ…はははっ…」
一人きりの車内、シートに携帯を投げつけた俺は、気が狂ったかのように笑い続けた。