─仮面─偽りの微笑み

「…お兄ちゃんと何かあった?」



美麗の言葉に、繭璃はぴくんと身体を震わせた。



「……何にも…無いよ…へへっ」



心配をかけまいと言ったのだろう、無理して笑う繭璃が痛々しく見え、美麗は心が痛んだ。



「嘘!!そんな訳ないじゃん!…何かあったって一目見ただけで解るわよ…ちゃんと言ってよ!親友でしょ?」



「…ふえっ…みれ…いちゃん…ごめっ…ん…なさ…い…ひっく…うっく…」



「わぁーごめん!責めてるんじゃないからね?!」



突然泣き出した繭璃の背中を撫でながら、美麗はオロオロしながら声をかける。



暫く泣き続け、少し落ち着いた様子の繭璃がポツリ、ポツリと喋りだした。



「…棗さん…お見合い…したんでしょ?多分そのまま…けっ結婚するだろうって…だから…もう会っちゃ駄目だって…」



「はっ?何の事よそれっ!あたし知らないんだけど?!」
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