─仮面─偽りの微笑み
「え…美麗ちゃん…知らなかったの…?」
驚く繭璃に、話が見えない美麗は突っかかるように問い詰めた。
「知らないわよ!誰が言ったのよそれっ!!」
「誰って…暢伯父さんが…」
「暢さんが?」
「…うん……会社と大勢の人達の為に必要な犠牲なんだって…だから諦めろって」
「な…にそれ?!ってことは政略結婚」
「もう…会えないのかな…棗さんに…会っちゃいけないのかな…」
今にもこぼれ落ちそう涙を、必死で我慢している繭璃。
「ママに電話してみる!」
美麗は携帯を取り出すとボタンを押した。
「もしもしー美麗ちゃん?今は授業中じゃ…」
「ママ!それどころじゃないわよ!!」
呑気な母の声に苛ついた美麗だが、事が事だけに気してはいられない。