─仮面─偽りの微笑み

「あぁ…ママに叱られるパパを想像したの…今頃は会社に向かってるわよママがっ」



「ふふっ…美麗ちゃんのパパって、ママさんに弱いよねぇ」



小さく微笑んだ繭璃に、少しだけホッとした美麗だったが、真実が解らずもやもやが残る。



「お兄ちゃんに電話すれば…」



よくよく考えてみたら、本人に聞くのが一番早い。



「…やっ…美麗ちゃん…」



美麗にしがみついた繭璃は震えていた。



「繭璃?」



「棗さんからさよなら言われたら…わたし立ち直れないよ…今は聞きたくない」



いつの間にか溢れ出した涙が、とめどなく流れて繭璃の頬を濡らしていた。



「…わかったよ」



携帯をポケットにしまい、震える繭璃の背中を撫でた。



静かに泣き続けた繭璃は、やがて疲れて眠ってしまった。
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