─仮面─偽りの微笑み
静かに寝息をたて眠る繭璃を見つめ、美麗は思っていた。
一体どれだけ涙を流したのだろうか?
赤く腫れた瞼に目の下のくま…。
柔らかな髪を撫でると、携帯を片手に美麗は保健室を後にした。
───…
──…
「社長、奥様がいらっしゃいました、そちらに向かわれています」
「えっ?!…ごほっ…わ、わかった」
受付嬢からの内線に、劉兒は心底驚いたと同時に心躍らせた。
妻ユウリが約束も無しに自ら社に出向き、自分に会いに来るなど今までに無い事だった。
「ユウリもやっと俺の魅力に気づいたか♪いやぁ長かった…」
─バンッ
ノックも無しに、乱暴に開けられたらドアから、「劉兒!!」と愛しの妻が姿を現した。
「ユウリ!さぁおいでっ」
満面の笑みを浮かべ、両手を広げてユウリを待つ劉兒。