─仮面─偽りの微笑み

駆け寄ったユウリはぎゅっと…劉兒のネクタイを掴み締め上げた。



「なつ君がお見合いってどう言う事?」



「…ヒッ……やっ…それには深ーい事情が…うっ」



「くっだらない事情だったら許さないんだから!!」



「ユウリちゃん?!」



「暢さん…邪魔しないで!」



慌てて劉兒からユウリを引き離す暢。



「ごほっ…っ…あぁ!どさくさに紛れて触んな」



劉兒は、ユウリの腕を掴む暢を睨みつけると、ユウリを引き寄せ自分の腕の中へと閉じ込めた。



「ったく油断も隙もない」



「お前ねぇ…助けてやったのに」



「はっ?元はと言えばお前が悪いんだろうが!!」



暢は「はぁーっ」とため息を吐き出すと、ソファーに座りうなだれた。
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