─仮面─偽りの微笑み
「冗談だよな棗?ちょっと俺達をからかっただけだよなぁ?俺が悪かったよ…すまん!」
暢はばつの悪そうな表情で、棗に頭を下げた。
「冗談ではありませんよ?だから招待状や会場の準備をよろしく頼みますよ」
「な、棗…嘘だってわかってて何故?繭はどうなる?!本気じゃなかったのか!」
ばっと立ち上がった暢は、棗に向かって声を荒げた。
「はっ…よく言いますよ…自分がした事の重大さに気付いてないとでも?これを望んだのはあなたでしょ?全てが今更なんですよ暢さん」
「違う!俺はただ…」
「もう…後戻りは出来ないんですよ…じゃあお願いしますよ…行こう麻里香」
「もういいの?」
上目遣いで棗を見上げ、腕に絡みつく麻里香。
「ああ…行こう」
「うん!あ、じゃあ失礼しまーす」
「なつ君はこれで本当にいいの?!」
ユウリは、遠ざかる棗の背中に向かって問いかけた。