─仮面─偽りの微笑み
あれから一週間が過ぎた頃だった。
行方をくらましていた棗が、ぶらりと劉兒の前に現れた。
「招待状は出来ましたか?」
「棗…お前どこにいたんだよ…本当にいいんだな?」
棗は、父に頼んでいた招待状の束から一つを手にし、くっと口角を上げた。
「いいんですよこれで…後はよろしく…じゃあまた」
「おい!棗…あのこはどうするんだ」
立ち止まった棗は「さぁ…?」と、言って立ち去った。
「…さぁって何だよ…我が息子ながらわかんねー奴」
「はぁっ」
と溜め息を吐き出して後ろ姿を見送った。
『悪かった』と謝った所で、棗がこの結婚をやめるとは思えない。
何故こんなことに?劉兒は招待状の束を見つめていた。
罪悪感に苛まれながら…。