─仮面─偽りの微笑み

「あのっ、すみませんわたし…」



「ママ、此処に繭璃を呼んだのはお兄ちゃんだよっ何考えてんだか!」



俯く繭璃の前に立った美麗が、母に向かい声を荒げた。



「なつ君が…?」



何故?母ユウリも棗の考えが解らない…そんな表情を浮かべ首を傾げた。



「美麗ちゃん、落ち着いて?」



修一は苛つく美麗を宥めすかす。



「修一さん…よく落ち着いていられるね」



じっと修一を見つめた美麗は、ふと思った。



親友が突然婚約…何も知らされていなかったら?



自分なら落ち込むか、怒るか…どちらにしてもこんなに悠長に構えてなどいられない。



「…修一さん…何かおかしくない?」



「え?!み、美麗ちゃん…」



美麗に詰め寄られ、修一は後退る。
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