─仮面─偽りの微笑み

──ザワ、ザワザワ



静まり返っていた会場がざわつき始めた。



「相手が違うとはどういう意味じゃ?!」



椅子に座り、2人を眺めていた南條会長が驚き立ち上がった。



「こういう意味っ♪」



麻里香が腕を組んだのは、先程から後ろで彼女を見守っていた人物。



「あたしの相手はこの人でーす!」



とピースして笑っていた。



「…何がどうなってんの?!てか、あの人誰?!」



瞳をぱちくりさせて驚く美麗。



「麻里香さんその方はどなたですか?」



「どう言う事ですか?」



「天城さんとの婚約は無いと言う事ですか?」



会場のあちらこちらから質問が飛び、カメラのフラッシュがせわしなく光る。



「では棗さんのお相手はー?」



「修一さん?!」



美麗は驚いた、ひときわ大きな声で修一が壇上に向けて言ったのだ。
< 219 / 268 >

この作品をシェア

pagetop