─仮面─偽りの微笑み
──ザワ、ザワザワ
静まり返っていた会場がざわつき始めた。
「相手が違うとはどういう意味じゃ?!」
椅子に座り、2人を眺めていた南條会長が驚き立ち上がった。
「こういう意味っ♪」
麻里香が腕を組んだのは、先程から後ろで彼女を見守っていた人物。
「あたしの相手はこの人でーす!」
とピースして笑っていた。
「…何がどうなってんの?!てか、あの人誰?!」
瞳をぱちくりさせて驚く美麗。
「麻里香さんその方はどなたですか?」
「どう言う事ですか?」
「天城さんとの婚約は無いと言う事ですか?」
会場のあちらこちらから質問が飛び、カメラのフラッシュがせわしなく光る。
「では棗さんのお相手はー?」
「修一さん?!」
美麗は驚いた、ひときわ大きな声で修一が壇上に向けて言ったのだ。