─仮面─偽りの微笑み
「私達は、これから大事な用がありますのでこれで失礼致します」
そう言って、繭璃を抱き上げたままで、会場の皆に向かい軽く頭を下げた。
「ちょっと待って下さい!では、その方が天城さんの婚約者…と言う事でよろしいのですか?」
「勿論」
質問にそう答えると妖艶に微笑み、棗は繭璃を連れて会場の外へと向かった。
「棗!忘れもんだ」
会場の扉を抜け、追いかけて来た暢からそれを受け取った。
「サンキュー暢さん」
「あ…それって」
繭璃はそれに見覚えがあった…ふと棗の方を向いた時だった、後ろからぐいっと2人の間に割って入る人がいた。
「おいっ!これはどういう事なんだよ!!」
仲良さげに笑いあう棗と暢の姿に、劉兒が顔をしかめる。