─仮面─偽りの微笑み
「嬉しいような、寂しいような…って言ったと思う」
「と思うってお前ねぇ…」
「いやぁ、なんかあん時久々に酒が入って思わず口に出てたみたいで…まぁそれをあの人達に聞かれて…」
「…で?」
ばつが悪そうな顔で話す暢に、劉兒が冷たい視線を送る。
「そんな目で見るなよ…で、何が寂しんだ?って2人して嬉しそうに聞くわけよ…当然、棗と繭の話しになって…俺は何も反対とかしてなかったのに、あの人達が勝手に盛り上がったんだよ…」
「何だよ…結局お前が悪いんじゃねぇかよ」
「俺…?お前だろっ逃げやがって!そもそもお前がちゃんと行ってりゃこんな事にならなかったんだよ!!」
「暢も行かなきゃよかったんだよ」
さらりと言ってのけた劉兒に、暢は心底腹が立っていた。
「な…じゃあ!てめぇはあの人達に逆らえんのかよ?なぁ?どーなんだよ!大方俺が行くから大丈夫なんて思ったんだろ?!」
「……ぅ…まぁ…なははっ」
と顔をひきつらせ劉兒は苦笑いした。