─仮面─偽りの微笑み
「ねぇ、じゃあ麻里香ちゃんも最初から知ってたの??」
小首を傾げた美麗に、「あぁ…」と棗が答えた。
「最初に顔を合わせた時に言ったからな…この見合いは偽りだし俺には大事な女がいるってな」
繭璃の肩を抱き微笑む棗に、繭璃もまた微笑んで見せる。
「あいつもホッとしてたぜ…あぁ後ろで控えていた執事さんもな?」
「雪那さん?」
繭璃が棗を見上げる。
「あぁ、あの2人ができてんのは最初からわかってたからな…雪那のヤローの俺を見る目が尋常じゃなかったし」
そう言って、棗は肩をすくめた。
「それでみんなグルになって騙されたふりをしてたって訳か?」
「正解だよ親父…麻里香に話しを持ちかけたんだ、騙されたふりしてやろうって…まぁ、2人が最後に別々に婚約ってのは麻里香が言い出した事だけど…」
「ふーん…やるな」
劉兒はくっと口角を上げた。