─仮面─偽りの微笑み
「でもさー、あの雪那って人も坊ちゃんのくせになんで執事なんかやってんの?」
うーん…と唸る美麗。
「色々あんだよあいつらも…」
「色々ねー…ま、いっかみんなが幸せなら!ねー繭璃♪」
「うん」
「あ!」
「何、美麗ちゃん?!」
「そう言えばあんた、あれだけ泣いて落ち込んでたのに…よく此処に来る気になったわね?」
「へっ?…ぁ…うん…」
美麗は疑問に思っていたのだ、兄との別れで悲しみに打ちひしがれふさぎ込んでいた繭璃。
それなのに…兄の婚約披露パーティーになんて出席できるだろうか?
美麗から視線を外し、棗をチラリと見た繭璃が恥ずかしそうに口を開いた。
「棗さんが招待状を手渡してくれた時があったでしょ?」
「あの時がどうかした?」
美麗は考えていた、そう言えば…あの時繭璃は悲しんでいなかった…いや、逆に微笑んでいたような…?!