─仮面─偽りの微笑み
「そのたった一週間が俺には何年にも感じたね…しかも泣かせてるんだ地獄に決まってんだろ…」
「…棗さん」
瞳一杯に涙をためた繭璃が、棗を見上げる。
「んな表情すんなって…あーっ!!マジ限界…行くぞ繭璃」
繭璃の手を握り締め、棗は歩きだした。
「な、棗さんっ?!」
「棗!…程々にな」
にやりと笑う劉兒に、「はっ…さあね」と笑い返す棗にユウリはゾクリとしていた。
「…なつ君はやっぱり劉兒によく似てる」
思わず呟いたユウリに、「だろ?」と劉兒は得意げに胸を張った。
「やれやれ…繭もとんでもない奴に捕まったな…まっあいつなら大丈夫か…な?劉兒!」
「はっ、当たり前…誰の息子だと思ってんだよ?大丈夫に決まってんだろ…」
顔を見合わせ笑いあう2人を、ユウリは微笑ましそうに見つめていた。