─仮面─偽りの微笑み
「繭璃…あれは何時もの事だから」
唖然と2人を眺めていた繭璃に、棗はぼそっと呟くとポンと頭を撫でる。
コクコクと頷く繭璃が可愛くて、棗は思わず口元が緩む。
「わっ…なつくんのあんな表情初めて見たかも?」
「驚いたか?まぁアイツも男だって事だよ」
驚くユウリに劉兒はくいっと口角を上げた。
「良かった…なつくんもやっと本当の自分でいられるのね」
優しく微笑むその横顔は、とても美しかった。
「だなっ…ってお前知ってたのか…あいつの本性」
「母親ですもの…私の前で無理してるの解ってたよ?まぁ…そうさせたのは私なんだろうけどねっ」
苦笑いして棗をチラリと見る妻を、劉兒は抱き寄せた。
「お前はいい妻だしいい母親だよ…お前にはいいとこ見せたかったんだよあいつは…マジな彼女が出来て俺的にはホッとしてるんだぜ?」
そう言った劉兒を、ユウリは小首を傾げ見つめた。