─仮面─偽りの微笑み
美麗は修一の胸に抱かれ、この上ない幸せを感じていた。
「ずっと一緒にいてね?修一さん…」
「もちろん!ずっと一緒だよ!」
抱き合う2人をよそに、棗は麗子に事の経緯を話していた。
「最初から全て解っていて見合いを受けた…って事なのよね?」
「そうだよ」
麗子の問いかけに、棗はなんの躊躇いもなく答えていく。
「で、麻里香に話をもちけかけたって訳ね…」
「そう言うことだな」
「あんた役者に向いてるんじゃない?」
「あー俺もそう思ったね…まーでも遠慮しとくかな」
麗子はふっと笑い、繭璃に目をやった。
「あのっ、はっ初めまして宝田繭璃です」
ばっとソファーから立ち上がった繭璃は、麗子に頭を下げるとスカートをぎゅっと掴んだ。