─仮面─偽りの微笑み
「麗ちゃん僕達も帰らないといけないよ?」
「ん?あぁそうだったわね!」
バックとコートを陽輝に持たせた麗子は、"あぁ忙しい"とぶつぶつ言いながら、さっさと部屋を出て行ってしまった。
「ユウリちゃん何時もすまないね…麗ちゃんの我が儘に付き合わせて」
苦笑する陽輝に、「いいえ」とユウリは優しく微笑んだ。
「ありがとう…じゃあ僕も行くよ、また今度ゆっくり食事でもしよう」
そう言って、陽輝は足早に部屋を出て行った。
「親父もよくやるよ…だが…あれは尊敬に値する」
俺にはできん…と呟いて首を振った。
その隣でユウリはクスクスと笑う。
「何が可笑しい」
「クスッ…私もどうなるかわからないわよ?」
「はっ?…今から親父に弟子入りするか…」
ぶつぶつ呟く劉兒の手をそっと握り、ユウリはふふっと笑った。