─仮面─偽りの微笑み
抱きしめた腕に一瞬ぎゅっと力をこめた後、棗はすっとその腕をといた。
解き放たれた身体に寂しさを感じ、繭璃は離れゆく棗の手にそっと触れた。
「棗さん…わたし…棗さんに求められて嬉しいですよ?」
「………」
「…凄く幸せです…愛されてるってわかるから…///」
うつむき加減の繭璃が、恥ずかしげに笑い頬を染める。
「じゃあ…遠慮なく」
「え?…あの…ん…んー…!」
棗は指先で繭璃の顎をすくい上げると、柔らかな唇を覆った。
甘く激しい口づけに、繭璃の意識はぼんやりとしていた。
---覚悟しろよ?
囁かれた言葉に、繭璃の身体を甘い痺れが走った。
繭璃を抱きかかえ、額に軽く口づけた棗は寝室へと向かった。