─仮面─偽りの微笑み

―――…
――…



「……ん…」



身体に感じる心地良い圧迫感で、繭璃は目を醒ました。



背中から回された腕に、ガッシリと抱き締められている。



「棗さん…好きっ」



小さく呟いてその腕に触れ頬を寄せた。



「可愛いこと言って…誘ってんのか?」



「へっ?!」



突然の声に驚き、棗の腕の中で真っ赤になって慌てふためく繭璃。



「わっ?!」



腕の中でくるりと身体を回された繭璃は、瞳を潤ませ棗を見つめた。



「あー…もう…やっぱ誘ってんだろ…」



「や、違っ…んっ…んー」



否定する間も無く唇を塞がれる。



「あ…ふっ…ん」



甘く優しい口づけに、繭璃はうっとりとし始めていた。



「嫌って程、愛してやる」



妖艶に微笑む棗をぼんやりと見つめ、繭璃は無意識に彼の首に腕を回していた。
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