─仮面─偽りの微笑み

宣言どうり"嫌"と言うほど愛された繭璃は、すやすやと穏やかな寝息を立てていた。



その姿を眺め、ゆっくりと髪をすく棗。



柔らかな髪に、頬に唇に優しい口づけをおとす。



―――愛しい



胸が締め付けられる。



「…きっともう、君ナシで僕は生きられないよ…」



なんて囁いて華奢な身体を抱き締めた。



「愛してる…誰よりも君を…」



柄にもないな…



捕まえた…そう思っていたのに、捕らわれたのは俺の方か…。



ふっと笑って掌を重ね指を絡めた。



このまま一生離れなければいいのに…。



そう思いながら繋がれた手を見つめ、柔らかな髪に顔をうずめる。



鼻腔をくすぐる繭璃の甘い香り。



また直ぐに反応を示す自身に、小さくため息を吐き出して"ぐっ"と堪えた棗だった。
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